「資料を読み込ませて質問するだけ」だったGoogleのAIツール「NotebookLM」が、2026年6月に大幅アップデートされました。今回の進化はこれまでとは次元が違います。
AIが自分でソースを集め、Pythonコードを書いて計算し、WordやExcelのファイルにまとめて渡してくれる──そんな「一緒に調べてくれるAI」へと生まれ変わったのです。

この記事では、NotebookLMの新機能を日常生活に引きつけながらわかりやすく解説します。

そもそもNotebookLMとは

NotebookLMは、Googleが提供する無料のAIリサーチツールです。PDFや記事のURLなどの「ソース(資料)」を読み込ませると、その内容をもとに質問への回答や要約、解説を自動で生成してくれます。

「本を読んで自分なりにまとめてほしい」「資料を分析してポイントを教えてほしい」といった使い方が得意で、インターネット上に溢れる情報をそのまま拾うのではなく、自分が指定した信頼できる資料の中だけで回答を作ってくれるのが大きな特徴です。

従来のNotebookLMは「資料を渡して質問する」ための道具でした。しかし今回のアップデートで、それが大きく変わりました。

今回のアップデートで変わった4つのこと

Googleは2026年6月8日(米国時間)、NotebookLMに以下の4つの大きな変化をもたらしました。

  • AIエンジンを「Gemini 3.5+Antigravity」に刷新
  • 自分でソースを集めてくる「エージェント型リサーチ」機能の追加
  • Pythonコードを書いて実行できる「コード実行機能」の追加
  • Word・Excel・PowerPointなど多様な形式への出力対応

変化① 自分でソースを探してきてくれる「エージェント型リサーチ」

これが今回のアップデートの目玉機能です。

従来は「NotebookLMに資料を渡す作業」をユーザーが行う必要がありました。PDFをアップロードしたり、URLを貼り付けたりといった準備がすべて手作業でした。

今回の「エージェント型リサーチ(Agentic Research)」機能では、「〇〇について調べたい」と打ち込むだけで、NotebookLMが自律的にウェブを検索し、関連ソースを収集・整理してくれます

たとえば「最近の健康的な食事トレンドについて調べたい」と入力するだけで、関連する信頼性の高いページや資料を自動で集めてきて、まとめてくれるイメージです。

Googleの社内比較では、旧バージョンに対して78.2%の勝率という大幅な精度向上が確認されています。

「何から調べればいいかわからない」「ゼロから情報を集めるのが面倒」という方にとって、特に便利な機能です。

変化② 計算やデータ処理もAIがやってくれる「コード実行機能」

今回から各ノートブックにセキュアなクラウドコンピューター(仮想マシン)が付与されました。NotebookLMがPythonコードを自律的に書いて実行し、複雑な計算やデータ処理を行えるようになっています。

難しく聞こえるかもしれませんが、ユーザー側にプログラミングの知識はまったく不要です。

具体的な活用イメージとしては以下のようなものが挙げられます。

  • 家計のCSVデータを読み込んで自動集計・グラフを作成してもらう
  • 複数の資料に散らばった数値を自動でクロス比較してもらう
  • 統計的な数値の意味を計算しながら説明してもらう

「Excelで関数を使いこなすのは難しい」という方でも、データを渡して「集計してグラフにして」と頼むだけで対応してくれるようになりました。

変化③ WordやExcelで直接受け取れる出力形式の拡張

これまでのNotebookLMの出力はGoogleドキュメントやスライド形式が中心でした。今回のアップデートで、以下の形式への直接出力が可能になっています。

カテゴリ対応形式
ドキュメントPDF / Word(.docx)/ Markdown / テキスト(.txt)
スプレッドシートExcel(.xlsx)/ CSV
プレゼンテーションPowerPoint(.pptx)
構造化データJSON
画像・ビジュアルPNG / SVG(グラフ・インフォグラフィック)

特に注目したいのはMicrosoft Officeファイルへの直接出力です。職場やPTAなどで普段からWordやExcelを使っている方にとって、NotebookLMの分析結果をそのまま実務に使える環境が整いました。

「AIが作ったものをわざわざコピーしてWordに貼る」という手間がなくなります。

変化④ AIがどう考えたか確認できる「思考プロセスの可視化」

NotebookLMの回答画面に「AIがどのように考えたか」をステップごとに表示する機能が加わりました。

回答の根拠・論理の流れが透明化されることで、AIの言っていることを鵜呑みにせず、自分で検証しやすくなります。AIのハルシネーション(誤った情報の生成)を見抜く手がかりにもなる、信頼性向上のための機能です。

大規模な文書分析の分野では旧バージョン比69.9%の勝率、全5評価カテゴリ平均で65%以上の勝率が確認されています。

今すぐ使えるのは誰か

2026年6月現在、新機能が利用できるのは以下のユーザーです。

プラン利用状況
Google AI Ultra 契約者即時利用可能
Google Workspace AI Ultra Access / AI Expanded Access 契約企業即時利用可能
一般ユーザー(無料・通常プラン)近日中に展開予定(時期未定)

AI Ultra は月額249.99ドル(約3.7万円)程度の有料プランで、現時点では一般ユーザーへの展開時期は未定です。日本での提供スケジュールも公式発表はありません。

ただし、「近日中に展開予定」とされているため、無料プランで使えるようになるまで待って試してみるのも十分ありでしょう。

「調べる道具」から「一緒に調べてくれるAI」へ

今回のNotebookLMのアップデートは、一言でまとめると「道具からパートナーへ」の進化です。

これまでは「資料を集めてから質問する」という順番で使うツールでした。今後は「調べたいテーマを伝えれば、ソース集めから分析、ファイル作成まで一気に進めてくれる」という使い方が現実的になりました。

読書会やサークル活動の資料作り、旅行計画のための情報整理、趣味の深堀り調査など、日常のさまざまな場面で活躍できるツールになりつつあります。無料プランへの展開が始まったら、ぜひ一度試してみてください。